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第7話 愛されない妻の記憶⑤

Author: なつめ
last update publish date: 2026-07-05 06:02:39

 侯爵夫人でありながら、肝心の夫からは何一つ受け取れない。

 なのに侍女たちには優しくされる。

 その優しさに救われながら、そのことがまた自分の孤独を際立たせる。

 矛盾していて、苦しくて、情けなくて、結局その夜、誰にも見えないように枕へ顔を押しつけて泣いた。

     *

 粥を半分ほど食べたところで、リリアーナはスプーンを置いた。

「もう少し」

「……これ以上は、今は無理」

「はい」

 エマは盆を下げながら、ちらりと主人の顔を見た。その視線には、無理強いをしない種類の心配があった。リリアーナはその視線だけでまた胸が痛む。自分を支えてくれるのが、いつもこういう人たちばかりだったことが、ありがたくて、そして少し悲しい。

 夕暮れが近づく。曇り空のせいで日が落ちるのは早く、部屋の中の色彩も徐々に鈍くなっていく。エマがランプを灯し、暖炉へ薪を足す。火がぱちりと鳴り、小さく明るくなる。

 その火を見つめながら、リリアーナはふと思う。

 前世でも、こうして火が強くなる時があった。

 自分が寒がりなのを知っていて、侍女が気を利かせたのだと思っていた。

 でも、時々、侍女が入れていな
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